デスクトップPCでの計算管理:軽量ジョブスケジューラ FBQueue の活用
計算を同時に回しすぎてPCが固まってしまう、あるいは深夜に計算が終わっていたのに次のジョブを仕掛け忘れて時間を無駄にしてしまうといった問題は、研究やデータ解析において頻繁に発生します。
スパコン等で利用される Slurm や PBS などのジョブスケジューラは、こうした問題を解決するための仕組みですが、これらを個人のデスクトップPCや小規模な共有サーバーに導入するのは、設定の複雑さや管理者権限の必要性から困難でした。
本記事では、こうした環境でも手軽に導入できる軽量ジョブスケジューラ FBQueue の活用方法を紹介します。
なぜデスクトップPCにジョブスケジューラが必要か
手動で複数のスクリプトを同時実行したり、& によるバックグラウンド実行を行ったりする場合、以下のような課題があります。
- リソースの競合: PCのコア数を超えるタスクを同時に動かすと、システム全体のレスポンスが悪化し、他の作業に支障をきたします。
- 実行の空白時間: 深夜や外出中に計算が終了しても、手動で次のタスクを開始しない限り、リソースが有効活用されません。
- 依存関係の制御: 「タスクAが正常に終わってからタスクBを動かす」といった制御を手動で行うのは手間がかかります。
ジョブスケジューラを導入することで、あらかじめ投入されたタスクを指定したリソース制限(CPUコア数等)の範囲内で順次自動実行できるようになります。
FBQueue の特徴:セットアップの容易さとクリーンさ
FBQueue は、個人利用や小規模グループでの利用を想定して設計されています。
- 管理者権限不要: ホームディレクトリにバイナリを置くだけで動作します。
- セットアップが容易: データベースの構築や複雑な設定は不要で、単一のバイナリで完結します。
- 環境を汚さない: アンインストールは、実行ファイルを削除し、設定・ログが保存されている
~/.fbqueueディレクトリを削除するだけで完了します。
実践:計算タスクのスケジュール
例えば、数時間かかる解析スクリプト analysis.sh が複数ある場合、FBQueue を使って以下のように運用できます。
1. ジョブの投入
# CPUを8コア消費するタスクとして投入
fbqueue sub --cost 8 ./analysis_1.sh
fbqueue sub --cost 8 ./analysis_2.sh
fbqueue sub --cost 8 ./analysis_3.sh
2. ステータスの監視
ジョブを投入した後は、以下のコマンドで現在の実行状況や待機中のタスクをいつでも確認できます。
fbqueue stat
例えばPCのキャパシティ設定が「16」であれば、最初の2つのタスクが実行(RUN)され、3つ目は自動的に待機(PEND)となります。先行するタスクが終了すると、待機していたタスクが自動的に開始されます。これにより、システムに過度な負荷をかけず、かつリソースを途切れさせずに計算を回し続けることが可能です。
共有サーバーや Arm 環境での活用
FBQueue は、正式なスケジューラが導入されていない共有サーバーでも有用です。自分が使用してよいリソース量(CPUコア数等)をキャパシティとして設定しておくことで、他のユーザーの作業を妨げない範囲で効率的に計算をバックグラウンド実行できます。
また、最新の v0.9.3 では Linux Arm64 (AArch64) をサポートしており、Raspberry Pi や AWS Graviton、Jetson などの Arm 環境でも同様のワークフローが可能です。
導入方法
FBQueue は GitHub のリリースページからダウンロードし、実行ファイルに PATH を通すだけですぐに使用できます。